社会科学徒のエディトリアル

広くは社会科学・狭くは経営学・会計学。学部4年生です。研究者目指します。

GPIFによる年金の株式運用に関する論点と考察

皆さんは、年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)について、どんなイメージをお持ちでしょうか。

GPIFは、約134兆円にも上るその運用資産額の大きさゆえ、「巨鯨」とも表現される日本の大規模な公的マネーの1つです。

僕は、GPIFの運用先における株式の比率上昇は必然であったと考えていますが、その中でもあまり明確に対処されていない論点があるのではないかと考え、今回の記事ではそれをまとめました。

 

その論点が、以下のものです。

①GPIFの持ち分増加によって「市場の目」は弱くなるのか

②出資者たる国民のマイナス感情を危惧すべきではないか

 

 

GPIFの持ち分増加によって「市場の目」は弱くなるのか

この記事においては、後述するGPIFの高橋理事長によるコメントやライフネット生命の出口社長による議論を踏まえ、年金制度自体の継続は前提として論を進めます

企業の株主構成に占める公的マネーの割合増大に関して、市場からは「投資家による市場の監視機能」の低下を懸念する声が上がっているようです。

(公的マネー流入自体に対して「実需を伴わない資金」との批判もあります。が、仮にそうだとしても―むしろ投資家がそう判断するのであれば尚更―資本市場にとってはプレイヤーの入れ替えを通じてGPIFの株式保有比率が高まるという結果があるのみでしょう。)

 確かに、市場の監視機能という面においてマイナスとなりそうな要因はいくつかあります。

①GPIFは国民から提供された資金を一律的に運用するため、パッシブ運用の側面が強くなること

②年金制度を支える安定装置が、GPIFの規律を弱めうること

などは挙げられそうです。

①については、年金運用においては国民年金が原資であるため、なるべく安全な運用が望まれているであろうことから導かれるものです。GPIFの運用額が134兆円にも上ると考えれば、特定企業への投資(アクティブ運用)だけでは運用資金を持て余してしまう上に、リスクが高すぎます。

②については、ライフネット生命の出口社長が指摘した年金制度の安全性の論拠から導かれるものです。

出口社長は、「国債が発行しうる限り、国は年金支給も考慮して予算を組むことができる」と、年金制度の継続可能性を指摘しています。

ただ、これは裏を返せば、運用に失敗してもセーフティネットのようなものが用意されているということであり、運用そのものへの監視機能という面では何らかの特別な取り組みが必要とされる状況であると考えられます。

 

ただし、市場の監視機能という面でプラスの影響も考えられないわけではありません。

ここでも2つの要素を指摘したいと思います。それは、GPIFに

ポートフォリオは開示されていないものの、アクティブ運用も取り入れていること

②スチュワードシップコード受容の意思があること 

 です。

①も②もGPIFのWebページにおいて投資原則として明示されていることです。

市場の監視機能という面では、アクティブ投資にもとづく積極的な投資先への分析・理解や対話といった要素が求められています。

その中で、GPIFも可能な限りアクティブ運用を取り入れ、積極的に投資先企業の価値向上のための関係構築を行う旨を示していることは、一つのプラス要因でありましょう。

GPIFほどの巨額のファンドですから、こうした取り組みを行うだけの影響力もあると思われます。(公的マネーがみだりに民間企業に影響力を行使することへの批判があることも、別の論点として考えておく必要はありますが)

 

 出資者たる国民のマイナス感情を危惧すべきではないか

2つ目の論点は、出資者たる国民がGPIFの運用をどう評価しているか、という点です。

一つ僕の気になる数字は、国民年金を遅滞なく納付している国民は、全体の6割程度だというものです。

しかもこれは、納付が免除された人や猶予されている人を分母から除いたものであり、実質的な納付率は4割とされています。また、この数字は若年層ほど低いようです。

国民年金の滞納は、長期に渡れば「差し押さえ」が行われるという、強制」という色の強い制度です。

その罰則をもってして納付率が6割程度という現実は、何を意味するでしょうか。

大きなものとしては、年金制度に対する不信感が挙げられるでしょう。

インテリな方々は、年金制度そのものに関しても合理的な判断をしているでしょうが、若い人々などは「よく分からんけど高齢化社会だし、GPIFは5兆溶かしたらしいし、年金なんて払っても戻ってこないんじゃないか」というような感覚を持っているようにも思います。

筆者も、この旨の発言を色んな人から聞いたように思います。

未納が増えれば、差し押さえのコストだったり、原資となるお金の納入の遅れといった社会的なコストが増大します。

これは年金の管理・運用の主体の業務に直結する問題であるため、管理・運用主体は、こういった出資者たる国民の不信感を拭う活動の必要性に迫られていると言えそうです。

 

まとめ

再掲になりますが、本記事では

①GPIFの持ち分増加によって「市場の目」は弱くなるのか

②出資者たる国民のマイナス感情を危惧すべきではないか

という2つの論点を提示・考察してみました。

 

上記の内容を踏まえ、GPIFに対する僕の意見としては、アクティブ運用における投資先の選定基準や、投資先企業への働きかけに関する活動の開示の充実を図ることが必要なのではないかと考えます。

上記の要素が、GPIFの取り組みが積極化されるべき点であり、出資者たる国民の投資に対する理解を促すものであるように思います。

 

P.S.

 入試終わりました。これより更新再開します^o^

 

参考にしたサイトなど↓

www.nikkei.com

blog.livedoor.jp

www.nikkei.com

www.nikkei.com

www.joyobank.co.jp

www.nikkei.com

www.nli-research.co.jphttp://www.nli-research.co.jp/report/detail/id=36592?site=nli